あの日泣いたなぁ
母がいなくなって4年がたったある日、母方のいとこが家にきた
私は久しぶりにはしゃいで遊んでいた
お母さんの話しは子供ながらに何となく禁句だったから
そこにはふれないようにしていたのに
妹が「わたしのお母さんはなぁ死んでん」って一言
別れた時にまだ3才だった妹に父はお母さんは死んだと教えていたのでそれを信じていた妹
私は
「ほんまはな、生きてるんやで!」とちょっと自慢気に父の嘘をバラしたはずだった
しかし
従姉妹は
「ほんまに知らんの?ほんまに死んだよ」
と。
その瞬間私はとてつもない衝撃を受けた
離婚しただけだから
いつか大人になったら再会できる
そう信じていたから
そういえば
その年、父が突然
「お母さんに会いたいか」と聞いてきた日があった。
私は会いたい気持ちを必死で隠して
こたつに顔をつっこんで
「どっちでもえーよ」
と言った
もし、もし会いたいと言えば父が悲しむだろうと思ったから。
心臓弁膜症という病気で入院し
35才の若さで死んだ母
きっとあの日父は最後になるかもしれない
と私に声をかけてくれたのだ
悔しくて悔しくて
泣いた日
あの日正直に言えば良かった
「うん!会いたい!」
と。